北海道石狩(札幌圏)の宿泊需要は延べ2,053万人泊、うち外国人714万人泊で比率34.8%。北海道全体の28.6%を上回り、外国人需要の集積地になっている。一方で客室稼働率61.2%は全国平均61.6%をわずかに下回り、月別では2月68.0%と4月46.3%の間で21.7ptも振れる。需要の総量ではなく、季節の谷をどう埋めるかが収益を決める市場である。期待利回り5.0%は東京より0.9pt高い。
主要指標
需要 — 外国人宿泊の国籍構成
外国人宿泊の国籍構成(金=北海道/グレー=全国)
外国人比率34.8%は主要都市のなかでも高い水準で、国籍構成は台湾・韓国・中国・香港が上位を占める。東アジア近距離圏への依存が強く、これらの市場の為替・航空便・渡航政策の変化が、そのまま稼働に跳ね返る構造にある。
需給 — 月別の客室稼働率
月別の客室稼働率(北海道・2025)
最高は7月69.8%、最低は4月46.3%で振れ幅23.5pt。2月が最高、4月が最低という形は、雪と観光シーズンに需要が連動していることを意味する。閑散期の存在を前提にした年間収支の組み立てが要る。
投資 — 期待利回りの都市間比較
| 都市 | 宿泊特化型ホテルの期待利回り |
|---|---|
| 東京 | 4.1% |
| 京都 | 4.5% |
| 大阪 | 4.5% |
| 福岡 | 4.7% |
| 名古屋 | 4.9% |
| 札幌 | 5.0% |
| 那覇 | 5.0% |
| 仙台 | 5.3% |
この差は、需要の絶対量ではなく季節変動と出口の厚みの差を反映していると読むのが自然である。
市場評価
外国人需要の集積という強みと、季節変動という弱みが同居する市場。取得価格が東京より高い利回りで買えることは事実だが、その差は運営の難度に対する対価でもある。通年の単価最適化ではなく、閑散期の稼働をどう作るかが問われる。
調査の方針
本調査は公表統計のみを用いた机上調査です。客室稼働率は都道府県単位、延べ宿泊者数は広域市町村区分単位の集計であり、市域と完全には一致しません。個別物件の収益性は立地・業態・運営形態によって大きく異なるため、取得判断には物件ごとの検証が必要です。
出典
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」令和7年(2025年)年間確定値(第2表・第8表・参考第1表)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」令和7年(2025年)年間確定値[広域市町村130区分別集計]
- 日本不動産研究所「第54回 不動産投資家調査」(2026年4月現在)