淡路島の宿泊需要は延べ168万人泊。うち外国人は2.7万人泊(1.6%)と全国27.2%の約17分の1で、ほぼ完全な国内市場である。円安のインバウンド追い風は受けない代わりに、為替・渡航政策への感応度が調査対象地域で最も低い。稼働の山は8月の夏型一山で、冬の谷(1月46.4%・県リゾート業態)の固定費耐性が投資判断の分岐点になる。期待利回りの公表対象外エリアであり、価格の物差しは取引事例の積み上げに拠るしかない。
主要指標
季節性 — 月別の客室稼働率
月別の客室稼働率(県リゾートホテル業態・2025)
データが示す根拠
- 需要の源泉 延べ168万人泊、うち外国人2.7万人泊で外国人比率1.6%。需要のほぼ全てが国内、地理的には関西圏からの短距離需要が主体の市場である。
- 夏型の季節性 兵庫県のリゾートホテル稼働率は8月67.5%が最高、1月46.4%が最低で振れ幅21.1pt。二山型の北海道(振れ幅44.2pt)と異なり、夏に一山の構造。
- 業態別の県内需給 兵庫県はビジネスホテル79.3%(全国75.3%)と都市部が強い一方、リゾートホテル55.6%(同56.9%)は全国平均を下回る。簡易宿所13.4%は全国29.6%に対し最低水準。
- 地価 兵庫県の商業地変動率は令和8年+4.0%で、全国+4.3%を下回る。上昇局面ではあるが県平均でも全国より弱い。
- 人口 2020→2025年で人口が増加したのは東京都と沖縄県のみで、兵庫県は減少。国内需要依存の市場にとって、母数の縮小は長期の逆風になる。
市場評価
| 評価軸 | 主要データ | 評価 |
|---|---|---|
| 需要の量 | 延べ168万人泊(2025・淡路区分) | ○ 一定の厚み |
| 需要の質 | 外国人1.6%(全国27.2%)。為替・渡航政策に非感応 | △ 純国内・上限も国内 |
| 季節性 | 8月67.5%〜1月46.4%・振れ幅21.1pt(県リゾート業態) | △ 夏型一山 |
| 供給・パイプライン | 未確認(旅館業許可・開業予定の集計を要する) | △ 未確認 |
| 投資利回り | 期待利回りの公表なし。取引事例も本版では未収集 | △ 物差し不在 |
| 金利環境 | 政策金利1.0%・10年国債2.785% | △ 要注視 |
| 地価 | 兵庫県商業地 令和8年+4.0%(全国+4.3%) | △ 県平均は全国以下 |
| 人口 | 兵庫県は2020→25で減少(増加は東京都・沖縄県のみ) | △ 母数は縮小局面 |
◎が付く軸が無いことが、この市場の正直な姿である。ただし△の中身は「悪い」ではなく「公表統計では確認できない」が多くを占める。期待利回りも供給も所有構造も、公表資料の外にある。裏を返せば、調査コストを払って個別確認を積んだ投資家とそうでない投資家の間に、情報の非対称が最も大きく残る市場でもある。
結論
淡路島は「外国人1.6%の純国内市場 × 夏型季節性 × 利回り公表なし」という、都市型と正反対の投資環境である。インバウンドの成長を織り込む物件評価は最初から成立せず、国内需要の安定性と閑散期の固定費耐性で判断する市場になる。公表される価格の物差しが無いことは参入障壁だが、裏を返せば、取引事例と個別確認を自前で積んだ投資家が情報の非対称で優位に立てる市場でもある。
調査の方針
- 掲載する数値は、政府統計および第三者機関が公表した資料から直接取得しています。
- 公表資料で確認できなかった項目は「未確認」と明記し、推計では補完していません。
- 淡路島単独の稼働率は公表されないため、業態別・月次は兵庫県のリゾートホテル業態を代理指標として用い、その旨を明記しています。
- 取引利回りは公表値が存在しないため、本版では「未確認」とし、推定値を置いていません。
- 結論に不利な材料も併記しています。
出典
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」令和7年(2025年)年間確定値(第8表・広域市町村130区分別集計)
- 国土交通省「令和8年地価公示」
- 日本銀行 金融政策決定会合(2026年6月16日)/日本相互証券(2026年8月7日)
- 総務省「令和7年国勢調査 人口速報集計」