期待利回りは4.1%で全都市の最低を更新し続けている。第54回でもなお0.1pt低下しており、圧縮の終わりは確認できていない。
期待利回りの推移
| 時点 | 期待利回り |
|---|---|
| 第53回(2025年10月) | 4.2% |
| 第54回(2026年4月) | 4.1% |
実取引の鑑定利回りは未確認。J-REIT等の開示から個別に確認する必要がある。
投資環境
10年国債2.785%に対するスプレッドは約1.3ptで、大阪・京都(約1.7pt)・福岡(約1.9pt)・那覇(約2.2pt)を下回る主要都市の最薄。歴史的なホテルのリスクプレミアムの目安(2.0〜2.5pt)を明確に割り込んでいる。
利回りの読み方
低下が続く意味
金利が上昇するなかでの利回り低下は、投資家がNOI成長(単価上昇)でスプレッド縮小を吸収できると見ていることを意味する。この前提はADRの上昇が続く限りしか持たない。
スプレッド1.3ptの読み方
追加利上げが0.5pt進めばスプレッドは1pt を割る。金利感応度は主要都市で最も高く、東京の取得は事実上「金利が上がりきらない」ことへの賭けを含む。
それでも東京を買う理由
流動性と出口の厚さは他都市と別格で、ストレス時に最後まで買い手が残るのは東京である。薄いスプレッドは、この流動性プレミアムの対価と読むのが正確である。
他都市との比較
東京は需要・稼働・地価・人口の全てで首位級だが、期待利回り4.1%とスプレッド約1.3ptが示すとおり、その優位は価格に完全に織り込まれている。市場の質に対して割高か、流動性を考えれば妥当か——この判断が東京投資の全てである。
主要8都市 ホテル期待利回り(2026年4月・低いほど価格は強気)
| 指標 | 東京 | 大阪 | 京都 | 福岡 | 札幌 | 仙台 | 名古屋 | 那覇 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ホテル期待利回り(2026年4月) | 4.1% | 4.5% | 4.5% | 4.7% | 5.0% | 5.3% | 4.9% | 5.0% |
| 前回調査(第53回)比 | −0.1pt | 0.0pt | −0.1pt | −0.1pt | 0.0pt | 0.0pt | −0.1pt | 0.0pt |
| 商業地変動率(令和8年・市部) | +13.8% | +12.7% | +10.1% | +9.0% | +4.6% | +7.8% | +4.5% | +7.1% |
| 外国人比率(広域市町村区分) | 57.6% | 43.9% | 58.5% | 37.7% | 34.8% | 11.3% | 26.0% | 24.4% |
| 客室稼働率(都道府県) | 76.3% | 78.6% | 66.8% | 72.1% | 61.2% | 60.2% | 69.2% | 60.3% |
出典
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」令和7年(2025年)年間確定値(第2表・第8表・参考第1表・広域市町村130区分別集計)
- 日本不動産研究所「第54回不動産投資家調査」(2026年4月現在)
- 国土交通省「令和8年地価公示」
- 日本銀行 金融政策決定会合(2026年6月16日)/日本相互証券(2026年8月7日)
- 総務省「令和7年国勢調査 人口速報集計」