大阪は客室稼働率78.6%で都道府県別の全国1位。ビジネスホテル82.9%・シティホテル79.4%・簡易宿所73.6%と、業態を問わず全国平均を大きく上回る。一方で外国人宿泊の中国比率は27.9%と全国19.7%を上回り、単一市場への依存度は高い。期待利回り4.5%は東京比 +40bps で、需給の強さに対して利回りの妙味は限定的な水準にある。
主要指標
需要 — 外国人宿泊の国籍構成
外国人宿泊の国籍構成(金=大阪府/グレー=全国)
出典:観光庁 宿泊旅行統計調査(国籍別は従業者数10人以上の施設)
需給 — 月別の客室稼働率
月別の客室稼働率(大阪府・2025)
投資 — 期待利回りの都市間比較
主要8都市 ホテル期待利回り(2026年4月・低いほど価格は強気)
データが示す根拠
- 全国最高の稼働 2025年の客室稼働率は78.6%で都道府県別1位。全国平均61.6%を17.0ポイント上回る。
- 業態を問わない強さ ビジネスホテル82.9%・シティホテル79.4%・旅館49.0%・簡易宿所73.6%。いずれも全国平均(75.3%・74.1%・38.2%・29.6%)を上回る。
- 需要の量 大阪市の延べ宿泊者数は5,223万人泊、うち外国人2,293万人泊で外国人比率43.9%。全国の外国人比率27.2%を大きく上回る。
- 中国への依存 府全体の外国人宿泊の国籍構成は中国27.9%・韓国12.2%・台湾9.0%・米国7.9%。全国の中国比率19.7%を8.2ポイント上回る。
- 地価の加速 商業地の平均変動率は令和7年+7.6%から令和8年+8.5%へ加速。全国+4.3%の約2倍で、5年連続の上昇。
市場評価
| 評価軸 | 主要データ | 評価 |
|---|---|---|
| 宿泊需給 | 客室稼働率78.6%で全国1位/全国平均61.6%を17.0pt上回る | ◎ 極めてタイト |
| 業態の広がり | ビジネス82.9%・シティ79.4%・簡易宿所73.6%と全業態で全国平均超 | ◎ 厚みがある |
| 需要の量 | 大阪市 延べ5,223万人泊/外国人2,293万人泊(43.9%) | ◎ 国内2位の規模 |
| 需要の分散 | 中国27.9%で全国19.7%を上回る。単一市場への依存度が高い | △ 要注視 |
| 投資利回り | 期待利回り4.5%(第54回・横ばい)。東京4.1%比 +40bps | ○ 妙味は限定的 |
| 地価 | 商業地 令和8年+8.5%(前年+7.6%から加速)/全国+4.3% | ◎ 上昇が加速 |
| 金利環境 | 政策金利1.0%・10年国債2.785%でスプレッドは約1.7pt | △ 要注視 |
| 人口 | 大阪府は2020→25で減少。増加したのは東京都と沖縄県の2都県のみ | △ 府は減少局面 |
大阪の強さは需給と地価に集中しており、そこは疑いようがない。△が付くのは「需要の分散」「金利」「人口」の3点で、いずれも稼働率の高さでは埋められない性質のものである。特に中国比率27.9%は、渡航政策や為替の変化が稼働に直接効く構造を意味する。
結論
大阪のホテル投資は「全国で最も需給が締まった市場を、その分だけ高い価格で取得する」という構図にある。稼働率78.6%は本物だが、期待利回り4.5%と10年国債2.785%の差は約1.7ptと薄く、利回り低下によるキャピタルゲインも見込みにくい。判断はNOIの成長余地に絞られる。
調査の方針
- 掲載する数値は、政府統計および第三者機関が公表した資料から直接取得しています。
- 公表資料で確認できなかった項目は「未確認」と明記し、推計では補完していません。
- 結論に不利な材料も併記しています(本サマリー版では中国依存・スプレッドの薄さ・人口減少)。
- 評価記号(◎○△・■▲●)は分析者の判断であり、根拠となる数値を必ず併記しています。
出典
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年 年間確定値
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」参考第1表 国籍(出身地)21区分
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」広域市町村(130区分)別集計
- 日本不動産研究所「第54回 不動産投資家調査」(2026年4月現在)
- 国土交通省「令和8年地価公示の概要」(2026年3月)
- 総務省「令和7年国勢調査 人口速報集計」(2026年5月)
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年6月16日)
- 日本相互証券 主要年限レート(2026年8月7日)